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売れないのではなく売らないようにしている =目的論と原因論=

研修をしていると、「話すのが苦手」な人や「人前で緊張する」という人がいます。だから営業は苦手だ、というわけです。確かに、言っていることもよくわかります。緊張するメカニズムは、いくつかあるのですが、ここでは原因論と目的論に照らして考えてみましょう。

 

原因論から考えると、以前に自分の意見をけんもほろろに断られたり、良かれと思って発言したことが相手の逆鱗に触れた、みたいなことがあったりしたとしましょう。嫌な思いはしたくないと考え、言葉を選ぶし、話し方にも気を使うし、苦手意識が芽生えるし、緊張もするわけです。トラウマ、という言葉は原因論の代名詞みたいなもので、過去の失敗(と思い込んでしまっている)経験を繰り返さないために、緊張したりストレスを感じたりすると説明します。

 

しかし、本当にそうでしょうか?実際のところは、人間の心はもっと自由で可能性に溢れています。過去の瑣末な失敗にとらわれるほど弱くはないのです。目的論で考えてみると、営業に行きたくない、お客様に会いたくないという目的が先にあって、その目的を達成するために、「自分は話がヘタだから」とか「人前で緊張するから」という言い訳を用意するという考え方をします。営業で言えば、「売れない」のではなく、今後、目の前のお客様と付き合いたくないから、「売らない」ための理由を後からこしらえているということになります。「売りたくない」という目的が先にあって、断られる方向に行くよう誘導しているわけです。

 

そんなことはない、と思うかもしれませんが、本当に目の前のお客様と今後も良好な関係を作りたいと思うなら、そのために必要なことをするでしょう。営業のガソリンとも言えるのは、「このお客様とお付き合いしたい」という純粋な気持ちです。相手への興味関心がすべての源泉になります。