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口出さないのって難しい

指導する(何かを教える)立場にあると、ついつい「こうしなさい」「ああしなさい」と指示を出してしまうことがあります。先日も、家でダラダラしている息子に家内が「勉強しなさい」と言っていました。

 

「勉強しなさい」「傘持って行きなさい」「挨拶しなさい」「返事しなさい」「靴揃えなさい」

 

命令形で話すことも多くあります。大人から子供、先輩から後輩、講師から受講生、のように、経験値や知識度合いが上だと、「すべきこと」「した方が良いこと」がわかり、しなかった時の不利益も予想できるために、行動を示して命令してしまうことがよくあります。でもこれが曲者です。相手のことを思って、良かれと思って指導していることが多いので気づかないことが多いのです。

 

ここで考えるべきは「課題の分離」という考え方です。

 

雨が降ると予測されるときに傘を持っていくかどうかはその人の課題です。傘を持って行かなかった時に濡れなければならないという結果を引き受けるのは本人です。「傘を持って行きなさい」と言った人の課題ではありません。でも、その人が傘を持って行っていなければ「せっかく言ってあげたのに」とマイナスの心理になります。人間関係の問題の多くは、「他人の課題に土足で踏み込むこと」や「他人を自分の課題に踏み込ませてしまうこと」で発生します。

 

「あいつはいうことを聞かない」ことに一喜一憂する必要はありません。「いうことを聞くか聞かないか」選択するのはその人で、その人の課題。研修などをしていても「良い話聞いた」で終わってしまうことがあるとよく聞きます。聞いた話を実行するかどうかは「本人の課題」です。セミナー実施側の課題は「やってみたい」「できそうだ」と思えるような内容を示すことです。精一杯のことをしたら、あとは、その結果を引き受ける人の課題としてしっかり見守る姿勢が必要です。

「人事を尽くして天命を待つ」とはそういうことではないかと思うんです。

 

営業で言えば、「相手のことを思って渾身の提案をすること」が営業の課題。

「その提案を受け入れるかどうかを判断するのは相手の課題」であると言えます。決めてもらえないことで一喜一憂したり逆恨みしたりすることは相手の課題の土足で踏み込んでいることになります。

 

こちらとしては「できる限り精一杯、ない頭絞って、相手のためになることを必死で考えた結果」としての提案をすれば良いわけで、その結果が採用されようが、されまいが、本人の問題ではないわけです。ここを勘違いしてしまっているマネージャーが上司だと、不幸です。「失注理由」をその営業本人だけの課題として考えてしまうと、本当の問題点が見えなくなり、的外れな指導やアドバイスが繰り返されることになります。

 

それは誰の課題なのかを常に意識することが大事です。