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連休企画"剣道*営業"その5『先々の先』

剣道では、試合の主導権を取る、つまり流れを制することを「先(せん)をかける」と言います。

 

偉い先生でも、「先」と聞くと攻撃のタイミングのように思っている方は少なくないようです。

しかし本来の「先」の意味は試合の主導権を掴むことのようです。営業はもちろん、仕事でも、上司からの指示やお客様からの要望がないと何もできないという人は少なくありません。主導権は常に相手のあり、自分でなんとかするという意識もないと安心して仕事は任せられません。 

 

流派などで少し呼び方などは違いますが、剣道には三つの先があると言われます。

 

一、先々の先(せんせんのせん):相手の気を早く察知して相手が動く前に機先を制すること。

一、対の先(ついのせん):動いたら打つぞ、引いたら打つぞ、と、いつでも来いという充実した気持ちのこと。

一、後の先(ごのせん):相手が仕掛けてきた動きに合わせて、相手を制すること。

 

この先々の先の感覚が本当にわかりづらくて苦労しました。「相手が動く前に」って言われても、相手がどう動くか全く手がかりがない中でどうするか?普段から一緒に稽古(練習)していれば癖なんかもあるかもしれませんが…。初めての相手だとできるだけ早い段階で相手の癖や傾向を見抜くことも大事なのかもしれません。

 

また、後の先について、ある年配の先生がこんなことをおっしゃっていました。

 

『昔は、真剣を使っていたので相手の剣をがっちり受け止めることはなかった。受け止めると刀が折れてしまうからね。相手の刀の軌道を少し変えてあげれば切られることはない。だから、いなしやすりあげ、はらい技が発展したんだ。』

剣道用語で「返し技」というのがあり、相手の竹刀を受け止めてそこから技を出すというのがありますが、これは元々はなかったそうです。

 

仕事の場面でも、相手の攻撃(批判的な意見や反論)に、真正面から対峙している人をよく見ます。場合によっては、それも必要なことはありますが、基本的に相手も「良かれと思って」いるはず。全てを真正面から受け止めていては、自分の刀が折れてしまいます。

いなし、かわし、はらうことも考えると、その場の流れの主導権を取ることができるかもしれません。